手記

楠木亭西風が書いている。

フランス旅行まとめ

友人と一緒にフランスへ旅行に行った。パリに6泊、リヨンに2泊した。

フランスへ来るのは2度目だった。前回は一昨年の6月で、ニース、ストラスブール、パリに行った。友人は初めてのフランスだ。友人とこのように長い旅行をするのは初めてだった。今までは人と計画をすり合わせるのが面倒なので(と友達が少ないので)一人旅をすることが多かったが、今回は初の試みだ。

 

 

まずパリに3泊した。

10区のゲストハウスの8人部屋だった。相部屋のヴィンセントというエルサレム留学から帰ったばかりのフランス人と仲良くなった。フランスに戻ってからの下宿を決めずに戻ってきてしまったからゲストハウスに泊まって下宿を探していると言っていたが、外が寒いのでほとんど宿にこもっていた。そもそも彼の大学はパリにないらしいから、はやく大学の近くに行って下宿探しをすればいいのに、と僕は思った。また彼は容姿端麗で背が高かったが、風呂上がりを見ると下腹が出ていた。フランス人というとスマートでエスプリな人を想像するが、フランス人も完璧な人ばかりではないんだなと安心した。

 

 

パリではたくさん古い建物を見て、美術館に行った。

ヨーロッパの宗教建造物はステンドグラスが素晴らしい。丘の上のあるサクレクールのステンドグラスは緑が素敵だったし、ノートルダム大聖堂はさすがのスケールであった。

一緒に行った友人がアートを好きだったので、美術館もたくさん行った。

ルーブル美術館に初めて行ったが、友人は期待はずれだったらしい。

想像していたより見るものが少なく感じたようで、ルイ14世の荘厳な居室に感嘆して口が空いている僕のマヌケ面を写真に撮って遊んだりしていた。

僕も友人も大変感動したのがーーー美術館だ。円形の部屋の壁一面にモネの睡蓮の絵が掲げてあり、とてもインパクトが強かった。モネの絵は近くで見たり遠くで見たりすると印象が変わるから、と僕が絵によったり離れたりしてフムフムという顔をしていると、友人はまた僕の写真を撮ってマヌケ面だと笑うのであった。

 

 

たくさん美味しいものを食べた。

宿代を節約している分食費を惜しまないようにしよう、ということで毎食フルコースであった。僕は日本であまり見ないメニューに挑戦して、成功したり、ゲテモノに当たったりしていたが、友人はステーキとかハンバーガーとか、確実に美味しいものを食べてとても満足していたので、僕が変な料理に当たって彼が順当に美味しいものを食べている時には大変恨めしく思った。

それでも全体を通してなんでもとても美味しかった。日本の洋食とは使っているスパイスが違うのだろうか。また野菜がとても美味しかった。野菜の味が濃いというか、鮮やかな気がする。

関係ないけど、サラダを美味しく作るコツは、野菜の水をよく切ることと、ドレッシングは油と酢をよく混ぜて、適量を、野菜全体に馴染むよう、満遍なく混ぜることだ。

パティスリーにもたくさん行った。

僕はケーキはムース、ベリーや柑橘の味がギュッと詰まっているものが好きだ。

そんなわけでごはんもデザートもたくさん食べた。僕のフランスに行く目的は美味しいものをたくさん食べることだったので、大変満足だった。

 

 

パリ3泊の後はリヨンに2泊した。

リヨンはパリから電車で2時間くらい、フランス第2の都市だけど、人口ーーー人、京都くらいの広さの小さな地方都市だ。

リヨンは景色が素晴らしかった。縦に二本の川が流れており、西が旧市街、東が新市街で真ん中が合いの子である。旧市街の奥は小さな丘になっており、その頂上に聖堂があるのだが、夕方か夜に市内を歩いていると古い石畳の街並みの先に丘が見え、頂上の聖堂が淡いオレンジ色の光に照らされているのである。両脇の建物と石畳が額縁になり、まさに絵に描いたような、息を飲む美しさである。こんなものを見た後だとディズニーランドのナントカ城など子供騙しのハリボテである。西側に道が開けるとだいたい丘の上の聖堂が見えるから、歩いているとしょっちゅうこの美しい景色が目に入る。リヨンは街を歩いているだけで幸せになれる、素晴らしい街だ。

 

 

リヨンの食べ物も美味しかった。

リヨンにはブジョンというスタイルの郷土料理を出すレストランがたくさんあり、それぞれに独特のリヨン料理を持っている。

特に有名な料理がクネルだ。クネルは白身魚のすり身をフワフワに焼き上げたものに、クリームソースやザリガニのソースをかけて食べる。

Le Poelon D'Orという人気店のクネルを食べた。美味しかった。

 

 

リヨンで2泊してからパリに帰った。帰りは鈍行列車にしたので5時間もかかった。

帰る前にリヨンでマルシェに寄り(ポールボキューズという偉大な料理人の名を冠した、大きな市場だ)、ハムとチーズを買った。電車に乗ってから、事前に買っておいたワインを飲みながらハムとチーズを食べると、さすがに気取り過ぎだが旅風情が感じられてよかった。

 

 

パリに帰ってからも安宿に泊まったが、宿がダブルブッキングをしていたせいで8人部屋から2人の個室にしてもらえた。ツイている。

パリに戻ってからもいくつか古い建物や美術館に行った。

サントチャペルのステンドグラスは一昨年も見たが、やはり圧巻だった。ヨーロッパのステンドグラスの中で僕が一番好きなのはサクラダファミリアだが、次はサントチャベルだ。

 

 

友人と8日間ほぼずっと一緒にいて、彼に対してそれまで持っていた印象とずっと見ていて感じる印象が違うことを感じた。

友人はとてもいいやつだと思っていたが、実際には利己的な面があるし、エゴで行動することもしばしばあった。でも僕にはない気配りや親切心を持っている。また友人はファッションにとても詳しいので、同じ人の服装を一目見ただけで得られる情報が僕と彼では全く違うことも知った。

しょっちゅう会っている人でも、自分が知っているのはごく一面で、日頃受ける印象と実際の人となりは全く違うのだろう。そういうところも含めて、まるっと人のことを愛することができればいいなと、パリの街を歩きながら思った。自己陶酔甚だしい。

 

 

総じて、よく食べ、よく鑑賞した、大変良いフランス旅行であった。